カフェを開業予定のあなたへ
人気店インタビュー!あなたのお店づくりに役立つ
繁盛のヒケツとは?
あなたはこれからカフェを始めたいと思っていませんか?そんなあなたのために成功しているカフェ・喫茶店のオーナーを中心にインタビューを2014年の秋から重ねてきました。お店を繁盛させるまでに苦労したストーリーや秘密、お客を集めるために工夫したことなどを直接、足を運んで取材しました。この特別インタビューを読めば、きっとあなたのお店づくりの役に立つことでしょう。
人気店インタビュー!もるげん珈琲(神奈川県藤沢市)
もるげん珈琲
代表 鵜野 靖史さん(左)
菅泉 章良さん(右)
JBA(日本バリスタ協会)認定バリスタの二人。鵜野さんは大手通信会社の役員だった。菅泉さんとともに独立開業。焙煎後に豆をひとつひとつ丁寧に選別する細やかな手作業がWBS(テレビ東京:ワールドビジネスサテライト)で取り上げられた。今では2店舗目も開店するほどの人気店に。
特徴的な店名ですね。店名の「もるげん」の由来は…?
「もるげん」というのはドイツ語なんですけど、たまたま行ったドイツがすごく気に入って、ブレンドコーヒーが美味しい国なので、うちもブレンドの美味しさを売りにしたくてもるげん珈琲という店名にしました。まあ、覚えられた単語が「もるげん」だけだったんですけどね(笑)
オープン当初、集客のために心がけたことは?
お店が駅から結構離れているので、オープン当初から1年間ぐらいは朝、仕事に向かう皆さんに挨拶をしていました。下を向きながら仕事モードに入っていたり、携帯に夢中でこちらを見てくれない方もいるのですが、挨拶を続けていくうちにお店の存在を知ってもらうことができましたね。朝は外に出て1~2時間ぐらいは、通る人全員に「おはようございます」と挨拶しています。
挨拶を返してくれる人もいるので、それがきっかけで来てくれるお客さんもいました。お店の前をいつも通るバスの運転手さんが休みの日に「(挨拶を)やってるね」って来てくれたりしましたね。
あなたにとってバリスタとは?
バリスタというと淹れる技術に目が行きがちなんですけど、淹れる前にプシュプシュッて蒸気を出して消毒して清潔感を保つ、そういう一個一個の動作をきちんとやっていくところが、バリスタの勉強をちゃんとしている人の違いです。例えばお店によっては、瓶の周りに豆の残りが付いていて、次の日に古い豆がビンの中に落ちてしまったりしますが、きちんと毎晩掃除をしてきれいな状態を確実に保つという点は、すごく気を使っています。
以前は違う職でしたが、やっぱりお客さんと直接触れ合ってやり取りができるし、自分の人間的な部分を高められます。ある種ガマンしないといけないところもいっぱいあるので、どんどん成長できると思います。
のぼり旗を立ててみて変わったことは?
開業当初は一本だけだったんです。前回のカフェ喫茶ショー2014(東京ビッグサイトにて)でお会いした時に、3本セットで買わせていただきました。そのほうがよいと冊子(デザインのぼりショップカフェ・喫茶カタログ)にも書いてあったのでやってみたら、初めて来店されるお客さんが確実に増えましたね。
カフェを始める方へアドバイスは?
専門店としてやっていくときに駅前の大手チェーン店との違いを出していかないと、ここに来る必要はないわけです。最初はお客さんに違いをわかってもらえないと思うけど、わかってもらうまで続ける必要があると思うんですよね。そのうち、「味が違うね」「だから値段が高いけどこっちに来る」「むしろ安いね」って言ってくれるようになりました。そうなるためには最初に持ったこだわりとか、美味しいものを突き詰めるという思いを捨てないでほしいなと思います。売れない時期が結構あると思うので、精神的にも折れないで欲しいと思う。
人気店インタビュー!caffe LOCASA(東京都世田谷区)
caffe LOCASA(カッフェ ロカーサ)
長田 友紀子さん
JBA(日本バリスタ協会)認定バリスタ。コーヒー店で店舗運営の経験を積む。自分がママになって子どもを連れていけるお店がないことからママ向けのお店「caffe LOCASA」を2013年6月に開業。
カフェを始めたきっかけは?
以前は、別のコーヒー店で働き店舗運営の経験を積んでいましたが、男性社会という印象が強いカフェ喫茶店業界の中で女性として活躍するために、バリスタのスクールに通い技術を磨こうと決めました。そのスクールで、上のインタビューに登場していただいたもるげん珈琲さんのお二人と知り合い交流もあるんです。日本バリスタ協会に認定された技術を活かすため、コーヒー豆の仕入先も種類に応じて複数の豆屋さんから購入しています。ブレンド用のコーヒー豆は、もるげん珈琲さんから買っています。
オープン当初、集客のために心がけたことは?
お店の物件探し、条件は公園に近いこと。運良く見つけた空き家は、芦花公園の目の前で、春になるとお店のカウンターが絶好のお花見ポイントなんです。デザイナーが仕立てたやわらかな内装が、親子でくつろげる空間になっています。
差別化したポイントは店内奥に用意された座敷スペースです。小さい子を連れて親子で入れるお店にしたいから出てきたアイデアなんです。座敷部分には、おもちゃのキッチンなど子どもたちが遊べる用具を用意して、お母さんは子どもの遊ぶ姿を見守りながらコーヒーを楽しめます。休日になるとイクメンが来ることも珍しくないですよ。お店に慣れた子どもたちは、まっすぐに奥の座敷に向かい靴を脱いで上がっていくんです(笑)
この座敷スペースを使って、月に一度開催される人気イベントがベビーマッサージ。お客さまとコミュニケーションをとる機会としてうまく機能しています。景色の良いカウンターより座敷スペースが人気です。
苦労したことは?
子どもにも安心して食べてもらえる食事を提供するために、食材の仕入先には苦労しました。取引先が全くないゼロからのスタートなので、オープン当初は食材に関するイベントに何度も足を運び情報を集めました。野菜の旬な情報が週に2回ほど業者からFAXで届くので、それを見て判断し発注をしています。鶏肉に関しては飲食店と農家のマッチングサービスに加入し、自分のお店が欲しい食材を登録しておくと、条件に合う会社が連絡をくれるので、食材を探すのも便利になりました。
集客のために心がけたことは
テラス席を活かしたサービスですね。店内での喫煙はご遠慮していただいてますが、タバコが吸えないとお店に行けないという喫煙者の意見を参考にし、テラスは喫煙可にしました。また、芦花公園内のドッグランを楽しみに来る公園利用者に配慮して、テラス席はペット対応OKにしました。店内に連れ込むことはできなくても、ペットと一緒に食事を楽しめます。
よく「ウェブサイトの制作をしませんか」と営業の電話をいただきますが、費用が高く、それで必ずお客さまが増えるとも限らないじゃないですか。フェイスブックや食べログの登録で十分やって行けていると感じています。周辺に競合となるカフェが少ないのも好条件でした。結構ママさんが口コミで広げてくれていたので、それがありがたかったです。
効果を感じたのは、郵便配達員が直接ポスティングをしてくれるタウンプラス。チラシの配布から二ヶ月も経つと、10%近く新規のお客さまが来てくれました。
「デザイナーの方にお店のかわいいロゴも作ってもらったので、手作りの看板と合わせて雰囲気作りを担っています。ロゴ入りのオリジナルグッズを作って販売したいです」と今後の展望もお話していただきました。長田さん、ありがとうございました。