石川さん:「お店を始めたのはもう十年ぐらい前なんです。初めは父の自動車工場の事務所に来るお客さまに差し上げたりしてましたが、そのうちに販売してはどうかと声をいただくようになり、かごの中にちょこっとだけ置くようにしました。だんだん種類が増えていき、規模も大きくなりました。去年の夏にいったんその事務所を更地にして基礎から改装し、2015年3月にリニューアルオープンしました」
趣味が高じて商品開発
菓子メーカーで商品開発に携わっていたという店主の石川さん。お菓子作りのきっかけは、小さいころにお母さんの料理を手伝ったこと。
石川さん:「最初は母が家で作る料理やおやつなどを手伝ってました。そのうち自分で作るようになり、一般の会社に勤めていたときに、都内の洋菓子ベンチャーで働く友達から、お菓子やってたよね、ウチに来ない?と誘われました。
まずその当時の勤め先にいながら、一年半ほど製菓学校に通いました。社会人向けに毎週土曜日だけ通うコースがあるんです。それから、友達がいる洋菓子メーカーへ転職し二年間ほど。そこでは商品開発部に所属して、月々に出る新商品を考えたり、味やパッケージを決める仕事を行いました。生産は工場で行うので、その元になる試作商品を作ることもあります。結局最後の方はお菓子を作るというよりも、商品の単価がどうこうみたいな。
ふと仕事を休もうと思ったとき、何もしないのもなんなので、今まで通り趣味でお菓子を作り始めました。自分の貯金からオーブンや冷蔵庫などを揃えていき、ほかにも趣味で買い揃えた道具が未だに役立ってます」
連日徹夜の盛況ぶり
改装オープンをしたばかりの店内は、木のぬくもりが柔らかな印象。お店の宣伝方法について尋ねると…
石川さん:「宣伝はブログやフェイスブックぐらいなんです。お客さまが、もっと宣伝しなきゃだめだよ、私がチラシを配ってあげるわ、と言ってくれたりして。
リニューアルオープンのときも宣伝しないでいたら、友達がオープンの日に大きい花輪をいっぱい送って来てくれたんです。そうすると、なんかあるぞってお客さまが来てくれて、商品がほとんど売れてなくなり、オープン後しばらくは明け方までお菓子を焼いていました。
改装前に使っていた家屋は、大きな梅の木で隠れてたんです。だから口コミでお客さんが来ても、この道の先にある同じ名字の自動車屋さんまで行って、お菓子はどこ?って尋ねるんです。その自動車屋さんが、もどってもどってと言ってくれて、ようやくたどり着く感じだったんですよね。
父が、売れないとしょうがないからのぼりを出しなよ、とずっと言ってました。でものぼりのイメージって、白地に赤い文字みたいな。
自分としては、お菓子一個にもその名前やパッケージ、お店の雰囲気など全部を含めてその商品の価値だと思うので、やっぱりそこに売り出しみたいのが来てしまうと価値を下げてしまうと思ったんです。
集客がないといけないっていうのもよくわかるんですけど、これで勘弁してくれって感じで簡単な看板だけを出してました。
それでもいろんな展示会に行っては販促商品を探してみたんですけど、自分のイメージに合うものだと地味で集客に見合わない感じがしたんですよね。何となく人の目に留まって、入りたいなって思ってくれれば、それが一番良かったんですけど、なかなかそういうのがなくて」
理想のデザインを発見
カフェ・喫茶ショー(昨年開催)でデザインのぼりショップのブースにたまたま立ち寄ってくださいました。
石川さん:「(デザインのぼりショップの)ブースの前を通りかかったとき、男性スタッフから、ゆっくり見てってくださいと言われ、ひと通り商品を見ました。
自分のイメージに合うデザインが並んでいて、すごいじゃんと思い、一緒に来ていた友達(ケーキ屋さん)は洋菓子が描かれているのぼりを、私は焼き菓子というのを購入しました。
以前、来店したお客さまから、何屋?と聞かれたことがあったので、これだけはっきり書いてあれば間違いないだろうと」
立ち止まるお客さんが増えた
石川さん:「実際のぼりを立ててみて、その日から違いました。元々、足を止めてくれる人が少なかったんですけど、歩いてくるお客さまは皆足を止めて、ここにお店があったの知らなかったって。父からは、だからもっと早くのぼりを立てておけば良かったのにと言われました。(笑)
自分でデザインしようとすると大変なので、希望通りのものが見つかり、嬉しかったです。
使ってみて不便なところは特にないかな。土台については、もともと持っていたパラソル用の土台に立ててみたりもしましたが、その土台だとのぼり旗を固定するときにネジをぐるぐるとたくさん回さないといけなくて日常使いでは不便でした。その点、(デザインのぼりショップの13L注水式タンクは)カチャッとやれば楽にポールを設置できるので、二本目ののぼり旗を立てるときも、よし買うぞと思いました」
個人店だからできる商品開発
石川さん:「継続が一番の目標ですけど、お客さまが飽きずにこれからも来てくださるように、新しい商品を出し続けたいです。シフォンケーキについても定番の味ばかりにならないように。
以前いたメーカーは、一個の商品を出すにも、全部の部署を通らないといけず、上に乗っている苺を一個変えるだけでもすごく大変でした。
自分でお店をやっていれば、アーモンドが足りなかったら、クルミでいいや!って、できるのが功を奏すというか。お客さまが、前買ったのと違うって指摘してくださることもままあるんですけど。(笑)
自分で決めないといけないことが多いので、大変に思うときもあるけど、お店がこうしてできあがってからは、自分の中で覚悟が決まった感じがします」
(DNSニュースレターvol.6 2015/9/20発行分より抜粋)
Home made sweets akiko’s field
代表者 石川 晃子さま
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最寄駅 西武池袋線入間市駅より徒歩8分
TEL 04-2964-6898
ブログ 菓子や日記 from akiko’s field.
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定休日 日曜、祝日