vol.8 地元の旬な食材を楽しめる御殿場のフランス菓子店。

横浜から東名高速道路で1時間弱。静岡県の御殿場ICを降り少し走ると、もんしぇりに到着。お店の目の前には小学校があり、ちょうど下校時間。児童が大勢歩いています。時代に合わせて変化する町に、どのようにお店が寄り添ってきたのか、もんしぇりの店主・野木さんにお尋ねしました。

同級生が残る地元で開業

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東京や神奈川の人気店で修行の後、地元・静岡県御殿場市で自分のお店を開いた野木さん。開業地を地元に決めた理由は、同級生の誘いから。

野木さん:「私の父は学校の教師でしたが、自分は教師にならないつもりでした。物を作るのが好きでしたし、手に職を付けようと思っていたので、たまたま親戚にお菓子屋さんがいたことがきっかけで製菓学校へ入りました。
卒業後は、銀座フランセや代官山の小川軒で修行し、鎌倉のアルセストでチーフを勤めた後、葉山の日影茶屋で製菓部門を担当しました。その後友人の勧めで地元の御殿場に戻り、このお店を開きました。
当時はバブルの全盛期でしたから、開業にあたり横浜などの物件はとても手が出ませんでした。地元の同級生たちに話をしたら、御殿場でぜひおいしいお菓子屋さんをやってくれと言われ、そんな感じで店を始めました。当時は37歳だったかな。もう今年で28年目になります」

地元のおみやげ開発

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最近では野木さんが中心となり、地元の食材を使った商品開発を行ってきました。

野木さん:「「地元の製菓組合の代表としておみやげの開発をやってました。当初は御殿場産の大変おいしいお米を使おうとしましたが、何十キロも製粉しないといけずできませんでした。
そこで近所にサツマイモを栽培しているところがあるので、それを使って御殿場の各菓子店がお店ごとにお菓子をひとつずつ作ったんです」

地元農家との契約の流れについて尋ねると

野木さん:「以前は夏にイチゴが穫れなかったので、夏場にイチゴを使ったケーキは作っていませんでした。ところが、たまたま近所の農家さんがスーパーで夏イチゴを出しているのを見つけたので、実は御殿場でお菓子屋をやってる者だけどハウスを見せてもらえないか、とすぐに連絡しました。その農家さんも、買ってくれるならと契約に応じてくれました」

のぼり旗を使いはじめるきっかけと補助金

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店内の商品には、野木さんがお知り合いに作ってもらったという手書きのかわいいポップが立ち並びます。

野木さん:「とはいえ、ポップだけだと外からは見えないじゃないですか。それでのぼり旗を立てようと思いました。ところが他社ののぼり旗って、どうしてもデザインがお菓子屋さんに合わないというか、素敵なものがありませんでした。それでデザインのぼりショップのカタログを見たときに、これならお店に合うだろうと思いました(笑)。オリジナルも作っていただけるということでしたから、やろうかなと。

まずは商工会のセミナーに参加

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野木さん:「そのときちょうど商工会が補助金を使ってみないかと誘ってくれました。補助金なんて今まで使ったことが無かったもので、補助金と助成金の違いさえ分からなかったものですからね。商工会のセミナーがあるから一回来てみないかと言われ、チャレンジしてみようと思った感じですね。補助金の申請についてはなかなか面倒臭いと聞いていたんですど、今回初めて利用しました。
商工会のセミナーを受け、一次締切はその1週間後でした。3月や4月ってお菓子屋さんは忙しいんですよ。だから5月の二次締切にしようかとも考えたのですが、商工会の方で募集が少なかったらしく、早く出してくれなんて言われちゃってね。それでもう、夜寝ないで色々考えました。私が手で書いたやつを商工会にパソコンで入力しなおしてもらいました。経営計画書と、個人事業計画書、それを作るのが大変でしたね。自分の事業を見直す機会にはなりましたけれど、実際やってみてやっぱり国のお金をいただくのは大変なんだなと実感しましたね(笑)。
のぼり旗が立つと、お客さまからは通りの向こうから入ってくるときによく見えると言われたり、お客さま以外でも朝と夕方の通勤通学のときに見て行く方も結構いますのでね。それはもう、だいぶ効果はあると思います」

変化する御殿場に合わせて

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お店を開業した当時と近年では、フランス菓子に対するお客さまの認識や、町の様子も変わってきました。そのなかで今後のお店の展望をお尋ねしました。

野木さん:「お店を始めた当時は、ムースってなに?と尋ねられる時代でしたからね。私はフランスにも修行に行ったので、得意分野はフランス菓子です。しかし、私もなるべく地元密着型のお菓子屋さんとしてやっていこうという気持ちでいましたから、なんでもかんでもフランス菓子を強調していては、なかなかお客さまも取り付いてくれないな、という思いもありました。初めの10年は地元の仲間が口コミで広めてくれたようなものです。自信もありましたし、一度食べていただければリピーターの方がたくさん来てくださるというような状況でした。ただ、生活環境も変わってきて、市内のお菓子屋さんもいっぱい増えました。(御殿場IC 横の大型アウトレットでは)中国人や韓国人の観光客は多いですよね。
これまでと同じように地元のお客さまを大切にしながら、観光客のお客さまも来れるようなお店でありた
いですね。息子が帰ってくるか分からないような状況なんでね(笑)」

取材後にお店のケーキをおみやげに買って帰ったのですが、どれを食べても大変おいしく、用事を作ってまた伺いたいなと思わずにいられませんでした。静岡県御殿場市の近くを寄る際は、ぜひ味わってください。

(DNSニュースレターvol.8 2016/1/20発行分より抜粋)

フランス菓子 喫茶もんしぇり
代表者 野木 邦寛さま
所在地 〒 412-0042 静岡県御殿場市萩原439-13
TEL 0550-84-1655
WEB mon-cherie.net

営業時間 9:00~20:00
定休日 毎週火曜日(その他不定休あり)