【1】就職浪人から抜け出すまで

井口正文学生時代写真電車の中

【仕事についてマジメに考えているあなたへ】

こんにちはデザインのぼりショップ代表の井口正文です。人生の中では『進学』『就職』『結婚』と3つの大きな転機があります。だから『就職』について悩むのは当然のことだと思います。このブログにおいて、私の順風満々ではなかった就職活動の記録を書いていきます。こんなヤツもいるんだなぁと思って、あなたは肩のチカラを抜いて楽しく就職活動に勤しんでいただければ幸いです。

私は多摩美術大学のグラフィックデザイン科を卒業する直前に 教授推薦で決まっていた、表参道にあるグラフィックデザイン会社への 就職を辞退した…。 いわゆるバカな学生のやることだ(笑) その理由は、当時ラフォーレ原宿で行われていた 多摩美のグラフィックデザイン科の卒業制作展で 私の作品に興味を持ってくれた あるスウェーデン人ジャーナリストの一言にあった。 「君の作品のエコロジカルなコンセプトは共感できるけど、 もし君の仕事先が、君の価値観と違ったことをしてたらどうするの? むしろそうでない商業主義的な会社がほとんどだと思うけど…」 的なことを言っていたと思う。 私はつたない英語でこう答えた。 「たぶん、最初は会社の方針に従ってチカラをつけてから自分の主張を展開します…」 自分では結構、まともなことを言ったつもりだった。 しかし… 私がそう言った瞬間にそのジャーナリストはガッカリした表情を浮かべ ふたつの手のひらを上に向けながら首をかしげ、さっさとその場を後にした…。 そのジャーナリストは商業主義の象徴のような 広告系デザイナーが環境問題を表現する矛盾を、無言で鋭く突いたのだ…。 当時、今よりも感受性が強かった自分にはショックが大きすぎた。 しばらくその場に呆然と立ち尽くした。 いわゆる「純粋バカ」だった自分は広告系デザイナーとしての進路に疑問を持ち、 決まっていた就職を辞退した。

そして就職浪人の道を選ぶことになる。 今ならわかる。もちろんデザイナーは何も悪くない。 しかし当時の自分は自己否定に走ってしまった…。 デザインのチカラによって社会にコミットしようと 精一杯がんばっていたつもりが、全否定されたような気がした。 「何をやってきたんだオレは?」みたいな感じになった。 もちろん卒業してからは学校に通う必要もない。 誰かに注意されることもない。 毎日、好きなだけ眠って、テレビを見て、遊んでばかり…。 当然、作品だって増えていかない。根無し草のような生活…。 ギャンブルだってやった…。 その一方でサラ金の借金だけが増えていった…。 ホントに典型的なダメ人間だった。 「人間失格」みたいな感じだった。 それは約1年ほど続いた…。 そしてそのうち本気であせりはじめる。 「このままじゃデザイナーになれないかもしれない。マジでヤバい…」

【つづく】

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